309 / 337

収束2②

side:森田 「ねぇ、ママは?」 「今、ラブラブ中だから、もう少し そっとしてあげてね。」 「んっ!? 黒曜、帰ってきたの?ホントに???」 「うん!…長かったよねぇ…落ち着くまで…俺達と待ってようね。 あれ?銀波ちゃん、漢字ドリルやってんの? 凄いなぁ。お勉強かぁ。 どれどれ…え?まだ保育園だよね? 『誕生』『郵便』『憲法』…ええっ!」 「要、どうしたの?」 「浩一!これ…確か六年生の常用漢字…だよね?」 「そうだね…須崎さんが教えてるって言ってたけど…六年生まで進んじゃってんのか…」 「えへへっ。ずっと耳と尻尾が出たままで、お外に出れなくてお家の中にいたから、することなかったし。」 「えっ!?漢字だけ?」 「算数と、英語と、歴史と…実験!」 「「実験っ???」」 「うん!ビーカーとか試験管とかアルコールランプ使うの。」 「本格的…須崎さん、すごいな…」 「ネットで全部揃えてくれて、燃やしたり混ぜたり、いろいろやってるよ。」 「半端ねぇ…尊敬するわ、俺。 …“教育パパ”だったんだな、彼は…」 銀波ちゃんのドリルから、須崎家の教育を垣間見た俺は、ちょっとビビっていた。 “俺、子育てできるかな…” と、そこへ満面の笑みの二人が現れた。 「突然に申し訳ない。 やっと解放されたので、居ても立ってもいられなくって、帰ってきちゃいました。 お二人には本当にお世話になって…ありがとうございました。」 深々と頭を下げる須崎さんに 「もう!そんな他人行儀な! 困った時はお互い様でしょう!? さ、こっちに座って! 今、お茶でも入れるから!」 「そんな、お構いなく!」 「そんなこと言わないで!さ、早く!」

ともだちにシェアしよう!