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収束2④
お茶とジュースを持って来てくれた浩一と、須崎さんの話を聞かせてもらうことにした。
浩「もう、大分落ち着いたでしょ?
よかったよ、戻ってこれて。ね?」
須「本当に。アレは凄まじかったな…
あんなことになるなんて思ってもみなくて。
一歩外を歩けば囲まれて、取材の数も凄まじかった。
まぁ、今まで『覆面作家』って呼ばれて、顔出ししなかった分の反動があったんだと思う。
それは、反省してるよ。
隠せば隠す程、あばきたくなるもんな、人間って。」
俺「対策室の方は想定内だったみたいだよ。」
須「そうか…だからみんな冷静だったんだ…
ラッキーだったのは、主演の男の子達…
彼らも人狼だったんだ。
顔合わせした時からそうじゃないかと思ってたんだよ…目の色が、時々変わってたからね。
ほんと、彼らには凄く助けてもらったんだ。
ワザと自分達の方に取材や興味が向くように誘導していってさ、あれは見事だったよ。
最終的には、俺なんてどうでも良くなってたからね。」
輝「え?人狼同士って分かるもんなの?」
須「うん。本人の自覚があるから、余計に匂いとか目の色とか、何となく…ね。」
輝「黒曜さん…俺のことは全然分からなかったよね?ね?」
須「輝の場合は全く人狼の自覚がなかったし、『人間だ』ってお互いが思ってたもんな。
あの時までは、そういった“人狼の血の部分”が眠ってたんだろう…
本能が目覚めたから、きっと分かるよ。
浩一君達もそうだろ?」
浩「うん。仕事柄、俺達は特に。
確かあの三人組は、小さい頃からマスコミ対策の訓練やらいろいろ受けてる子達だよ。
だから、質問のかわし方とか、追っかけの巻き方なんかお手の物なんだ。
あの子達で良かったよね。」
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