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収束2⑥

『このまま(うち)に泊まっていって』という俺達の誘いをやんわりと断り、須崎さんはさっさと二人の荷物を運び終えると 「本当にお世話になりありがとうございました! 今夜は遅いので、後日改めてお礼に伺いますっ!」 と深々と頭を下げると、輝君を軽々と抱き上げシルバちゃんを連れて、意気揚々と去って行った。 「…台風一過…行っちゃったね…」 「ふうっ…要、ワインでも飲もうか。」 「うん。」 手早くツマミも作って持って来た浩一とグラスを重ねる。 「お疲れ!」 「お疲れ様!」 「…まぁ、とにかく良かったよ。 シルバちゃんはともかく、輝君が限界だったからね。」 「そうだな。気丈に振る舞っていたけど、どんなに心細かったかと思うと… それなのに逆に俺達に気を使って…美味しいご飯も作ってくれて、この家だってピカピカにしてくれて。 …俺もあんなに家事能力のスキル高ければ、浩一に喜んでもらえるのにな…」 「何言ってんだ。お前の作るご飯もサイコーだよ! 美味いし、いつもカロリーとか栄養バランスとか考えて作ってくれてるだろ? 共働きなんだ。家事なんてお互いで分担してやらないと。 お前、うちのこと一生懸命にしてくれてるじゃないか。 要は要。 無理すんなよ。」 「浩一…」 分かってくれてたんだ。 うれしい。 ぽすん と身体を預けると、浩一は俺をぎゅうぎゅうに抱きしめてくる。 俺の大好きな雄臭い匂いが鼻を擽る。 大好き…浩一、大好き… 胸元にぴったりとくっ付いて、擦り付いて甘える。 「ふふっ…要…耳、出てるぞ。」 「えっ!嘘っ!……んっ、やだぁ…」 耳の付け根を ふにふにと揉まれて、思わず甘い声が零れた。 キスで唇を塞がれて、ベッドへ連れて行かれ… 『きっと今頃は輝君も…』という不謹慎な思いを抱きながら…朝まで啼かされた俺なのだった…

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