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新しい家族①

side:黒曜 あの苛立ちの続いた日が嘘のように、愛する輝とかわいい銀波の側で、穏やかな日々が戻ってきた。 銀波にダイブされ叩き起こされ、寝ぼけ眼の俺を 輝が笑いながらキッチンで迎えてくれる。 テーブルには湯気の立つ白いご飯や味噌汁、おかずが並び、時間を気にしながら食べる銀波にせっつかれ、俺も慌てて食卓に向かう。 出掛ける時には『行ってきます』のキスを欠かさない。 二人分のキスを受け止め、はにかみながら『行ってらっしゃい』と送り出してくれる愛おしい(つま)。 銀波を保育園に送り届け、帰宅する頃には、ほぼ全ての家事が終わっている。 少し大きくなったお腹は重そうで、転んでしまうのではないかと、ひやひやすることもあるが、上手にバランスを取って、くるくると実によく動き回る。 ビデオを見ながら『妊婦体操』なるものをやっている時もある。 「だって、お散歩には行けないから、家の中で動かないと!」 と、輝なりの体調管理があるらしい。 俺が書斎に引きこもっている間は、輝は声を掛けてはこない。 『気にせず先に食べておいて』と言っても、輝は頑として言うことを聞かなかった。 “同じ空間にいるのに家族は一緒にご飯を食べなきゃ” と、こともなげに輝は笑っている。 そんな輝は、俺に合わせてお昼ご飯を食べ損ねてしまうことが度々あって、それは流石にマズいと反省して、どんなにノッていても昼には一旦部屋を出て、輝と一緒に食べてからまた銀波の迎えの時間まで書き続ける。 これはアラームをかけてあるから、輝を待たせることもなく、俺も空腹で倒れることもなくなった。 時間が無いように思うが、一日中書いていた頃よりも、効率よくページが進んでいく。

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