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新しい家族⑥

「…本当に“うれしかった”の?」 「そうだよ。 『俺の家族が増えた』って、泣けたな… 獣化したまま産まれてきて、毛並みが綺麗な銀色で。 呼吸する度に、波打つように煌めいてさ。 だから『銀波(シルバ)』って、俺が名付けたんだよ。 あんなチビ助が、こんなに大きくなって、今度は“お兄ちゃん”だもんな。」 ぽんぽんと銀波の頭を撫でてやった。 くふん と鼻を鳴らして、擽ったそうに首をすくめた銀波は 「赤ちゃんも獣化して産まれるのかな… 何色なんだろう…」 「その子その子で出方が違うしな。 …もう少ししたら会えるよ。」 「うん!楽しみだね、パパ!」 「“パパ”って…銀波…照れるじゃねぇか…」 そうやってしばらく銀波と話していると、突然ドアが開いた。 「「あっ!!!」」 「須崎さん!」 「はいっ!!!」 「おめでとうございます!元気な男の子ですよ。 母子ともにとってもお元気です。 こちらへどうぞ!」 銀波と顔を見合わせて、すっ飛んで行った。 『元気な男の子』 『母子ともにとってもお元気』 看護師さんの言葉が何度も何度もリピートする。 良かった…輝…ありがとう。 除菌ジェルを手に擦り込みながら部屋に入ると、ガーゼに包まれた小さな小さな“物体”を渡された。 …軽い。 みぃみぃと泣くその子は…銀波と同じ、美しい銀色の毛並みだった。 「僕とおんなじ…」 銀波が呟いた。 小さな身体を震わせて泣く、俺の息子… ぽろっ 涙で滲んで、目の前が歪んでくる。 落とさないように潰さないように、そっと胸に抱きしめる。 愛おしい温もり。 「産まれてきてくれてありがとう…」 胸が一杯で、月並みな言葉しか出てこない。 銀波にも抱かせてやる。 「君のお兄ちゃんの銀波だよ!よろしくね!」 銀波はすっかり兄貴ぶっている。

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