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新しい家族⑧
銀波が遠慮がちに声を掛けた。
「ママ…」
「シルバ!一緒に待っててくれたんだね!
ありがとう…
抱っこしてくれた?」
「うん!すっごくかわいかった!
…あのね、僕ね、ママに聞いてほしいことがあるの。」
「なぁに?今から部屋に戻るから、そこでゆっくり聞くよ。
一緒に来てね。」
「うんっ!」
俺達は輝の側に付き添い、部屋へと向かった。
そこは個室で、ソファーもあり、銀波がいても大丈夫そうな空間になっていた。
あれこれと説明する看護師の話を聞きながら、俺は輝のカバンから必要なものを出して並べていった。
枕元に置かれた痛み止めを見て、チクリと胸が痛んだ。
「さぁ、シルバ、何かな?」
やっと三人になり、幾分落ち着いた顔になった輝が声を掛けた。
輝をじっと見つめると、くふんと恥ずかしそうに笑っている。
けれど
今までのかわいいだけの顔とは違う。
しっかりした というのか、覚悟を決めた とでもりいうのか、『母』になった輝がそこにいた。
「あのね、あのね、僕、赤ちゃんを見て抱っこした時にね、名前が浮かんだの。」
「ふふっ、どんな名前?」
「あのね…『銀河』!
僕とおんなじ銀色でキラキラしてて、お星様みたいだったの。
だから…」
輝は銀波の頭を優しく撫でながら
「銀河…ぎんが……綺麗な名前!
お兄ちゃんからの初めてのプレゼントが名前だなんて、とっても素敵だね!
シルバ、素敵な名前を付けてくれてありがとう。
銀河もとっても喜ぶと思うよ。」
輝は俺を見て頷いた。
俺も頷き返した。
輝は…俺が銀波の申し出を承諾していたことが分かったのだろう。
銀波は大きな目を更に大きくして
「…本当に?僕が付けた名前でいいの?
『銀河』でいいの?」
「シルバ、『銀河』がいいんだよ。
素敵な名前をありがとう。
あの子はシルバのことが大好きになるよ。」
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