324 / 337
それから①
side:輝
「シルバっ!お弁当忘れてるっ!」
「いっけねぇー…サンキュ、母さん!
行ってきまーす!」
「はい、行ってらっしゃい!気を付けてね!」
ほら、銀河!黒檀 !早くしないと遅れるよ!」
「今何時?うわっ、ヤバイっ!
おーい、黒檀っ!お前も早くしろよっ!
俺、もう行くぞっ!!
父さん、母さん、行ってきまーす!」
「はい、行ってらっしゃい!気を付けてね!」
「うわぁーーーっ!電車、間に合うかなっ。
ヤバぁーーい!
行ってきまーす!銀河ぁ、待ってぇーー!」
「行ってらっしゃい!慌てないでー!」
三陣の嵐が去って、ほおっ と一息をついた。
こうやって、毎日慌ただしい日々を過ごしている。
シルバを筆頭に、銀河が生まれた後、翌年すぐに三男坊の黒檀が生まれ…三人の子育てに奮闘し…
シルバは大学を卒業して去年から社会人に。
銀河と黒檀は同じ学校の高校三年と二年に。
キッチンの後片付けを済ませた頃、この家の主人 はゆったりとコーヒーを飲んでいた。
「全く…あと十分早く起きればいいものを。
送り出す身にもなってみろって言うんだよ…
なぁ、輝。」
「ふふっ。若い時はどれだけ寝ても寝足りないみたいだし…
さぁ、シーツの洗濯しなくちゃ。」
手伝うよ、と言いながら、黒曜さんは俺の後をぴったりとついてくる。
「黒曜さん?」
「…洗濯より、先に輝を剥いてしまいたい…」
「なっ、何行ってるんですか!?
まだ、まだ朝ですよっ!?
子供達、出掛けたばかりですよっ!?」
黒曜さんは動揺して真っ赤になる俺を抱きしめた。
ともだちにシェアしよう!