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それから③

side:銀波 銀河が生まれ、翌年には黒檀が生まれて。 僕には二人のかわいい弟ができた。 “ママ”と呼んでいたのが、いつの間にか“母さん”と呼ぶようになり、思春期にはそれなりに反抗期を迎えた。 黒曜も母さんも、僕を本当の血の繋がった息子だと扱い、取っ組み合いの喧嘩をしたこともあった。壁に穴も開けた。 人狼側の役に立ちたいと漠然と思っていた僕は、中学の頃から弁護士を目指すようになり、猛勉強をして、人狼の弁護士さんの元でアルバイトをしながら、大学卒業までに資格を取った。 そして今は、社会人二年目。 ひまわりと天秤のモチーフのバッチは胸ポケットに収まっている。 走り込んで何とか間に合った電車の窓から、流れる街並みを眺めている。 太陽君は…農業大学を出て、お父さんの圃場を手伝っている。 僕達は、先日正式に結納を交わしたばかりで、二年後には結婚しようと決めている。 僕の休みには畑の手伝いに行ったり、デートをしたり。保育園からの付き合いだから、もう二十年近く。 順風満帆で進んできた訳ではなく、意見の相違で喧嘩したり別れようと思ったこともあった。 背が高く、ガッチリとした体格になった太陽君は、相変わらず優しくて、頼もしくて、僕のことを一番に考えてくれてて。 いつも僕はドキドキしながら甘えている。 結婚したら、黒曜と母さんみたいにいつまでも仲睦まじく暮らしたいな。 子供も…最低でも三人はほしい。 僕達、三人兄弟で凄く楽しいから。 …もうすぐ到着駅だ。 溢れる妄想と希望を仕事モードに切り替える。 今日から新しい案件に取り掛かる。 無実の罪を晴らすべく、僕にできることを一つずつやって行こうと、流れる人混みに押されながら真っ直ぐ前を向いた。

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