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それから④
side:銀河
…まだ足りない…
明日から、おにぎり一個追加してもらおう…
昼休みの屋上で、まだ物足りないお腹を摩っていた。
「銀河、どうした?お腹痛いのか?」
「深雪 !
違うよ…弁当食ったけどまだ足りないんだ。」
「あははっ。やっぱりな。
ほら!焼きそばパン!」
「うわっ!さっすが深雪!
後でパン代渡すから。サンキュ。」
いただきます と被りつく俺を優しい眼差しで見つめる深雪。
入学式で会った瞬間に、“番”だと分かった。
獣化すると母さんみたいに真っ白な狼になる、美しい俺の恋人。
『女みたいな名前で嫌なんだ』と言っていたけど『深雪に似合ってて俺は大好きな名前だよ。』そう伝えたら、真っ赤になって…。
あれがファーストキスだったなぁ…
それからはキスだけ。
かなりの忍耐を要するが、二人で話し合って、エッチはちゃんと自立してから…と決めている。
万が一妊娠しても、俺達はいろんなことに責任を取れない立場だから。
自分の始末は自分でできるようになってから…
あーっ、早く大人になりたいよ。
「深雪、ありがとう。満腹!
…これで午後の授業は爆睡…」
「ダメだよ!横センだぞ!デコピン食らいたいのか?
あれ、地味に痛いんだぞ…」
「あぁ…気を付けるよ。
ところで進路希望調査出したのか?」
「うん、前回と同じ。銀河もだろ?」
「うん!俺、絶対医者になるんだ。
『スーパーDr.銀河』なんちゃって。」
「ぶふっ。何か漫画のタイトルみたい。」
「一人前になるまで時間は掛かるけど…待ってて。
絶対幸せにするから。」
「…はい。」
そっと近付く唇…
キーンコーンカーンコーン
無情に鳴るチャイムに、済んでのところでキスはお預け。
早く早くと駆け足で教室に戻りながら、放課後絶対キスしてやると、妄想を膨らませていた。
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