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主従な関係2 風早×林田
小さな頃から一緒だった林田の御曹司、志乃。俺はその世話係。
世間一般的にはにわかに信じてもらえない、俺達のこの関係。
疎ましく思ったことも何度かある。けれど今は。
「健司、お前また背が伸びた?」
「確実に伸びた。朝起きたら景色が何か違うんだ。膝も痛いし」
「ロシア人混じりの成長期はすごいんだな」
「そうなのかな」
物心つく前に亡くなってしまった俺のじいさんはロシア人で、何でもその昔海で遭難仕掛けたところ、林田の所有する船に助けられたそうだ。
その後、事情があって祖国に戻れなくなった俺のじいさんは、命の恩人である林田のじいさんの右腕として働き始めたそうだが、それが林田に仕えることとなった所以らしい。
俺はどうやらじいさんに似たらしく、志乃と同じくらいだった背丈はにょきにょきと伸び、顔立ちや骨格、筋肉のつきかたまで周りとは違う。
おかげでカッコいい!と持て囃されるのだが、俺の興味はどんな可愛い女子よりも、志乃ただ一人だった。
俺も志乃もれっきとした男だが、何故か俺の目には志乃だけ特別に映る。
繊細で神経質そうな顔に細い首、さらさらとした黒髪や縊れた腰も、男であるにも拘わらず綺麗だなと見惚れてしまうほどだった。
高校の制服に身を包み、志乃と肩を並べて歩く。
いつも華奢な肩や腰を抱いて歩くことを想像する。
すると、ぞわぞわとした熱が下腹の下に溜まってくる。
これは志乃に、いや、志乃様に向けていい感情ではない。
「なぁ健司」
「ん?」
「健司はヒゲ、生える?」
「あぁ、まぁ多少は」
「じゃあ毎朝、シェーバーで剃ったりするのか?」
「そんな大袈裟じゃないけどカミソリでちょいちょいってやるくらいかな」
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