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第1章第38話

部屋に連れて入ると 子猫がミャーミャーと 足許に擦り寄る。 とりあえず氷浦をソファに座らせ 「なんか温かい物飲む? 少し落ち着くだろうし」 けれど氷浦は黙って俯いたまま。 子猫は心配そうにミャーミャー鳴く。 俺は少し困った顔をしながら 「ココア作るから待ってて」 そう言って側を離れようとした時 俺のスーツの裾を掴み 「…………いて」 震える小さな声。 なんて言ったかよく聞き取れない。 「え………………」 「ここに…………いて」 俯いた顔をあげポロポロと 涙を零しながら裾を引っ張る。 俺は胸の痛みを感じながら 氷浦の隣に腰を下ろすと 無意識だったろうか? 細い腕を引き寄せると すっぽり自分の腕の中に抱き寄せた。 「…………っ」 泣いている氷浦には似つかわしくない 金髪の頭を宥めるように撫で 抱きしめる腕に力を込めれば まるで堰を切ったように泣いた。 俺はただただ黙って抱きしめる。 まるで棘でも刺さったように 俺の心は痛んだ。 ようやく落ち着きを取り戻したのは 4時を過ぎた頃…………。 子猫も足許で丸くなっていた。

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