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第1章第39話
よしよしと頭をポンポンすると
僅かに身体を離し口を開いた。
「何があった?ちゃんと話して」
真っ赤に腫れている目を真っ直ぐ
見つめ真剣な物言いで伺うと
氷浦は僅かに視線を外した。
「話さなきゃ分からない……。
お願いだから……話して」
氷浦はぎゅっと唇を噛み締めると
消えそうな声でこう言った……。
「…………てくれたら……。
抱いてくれたら話す」
俺は思わず息を呑んだ……。
ふざけてる……様子はない。
逸らした視線を戻し
真っ直ぐな瞳で俺を捉えた。
「…………本気?」
昨日もそんな事を口にした。
だけど────────。
「………………」
氷浦は黙ったままこくりと頷く。
これは…………本気だ……。
でも抱くったって…………。
はっきり言って男は抱いた事が無い。
その希望に応えるべきなのかも
分からない……。
それに────男に欲情するのか?
明らかに躊躇う俺に氷浦は
ゆっくり顔を近づけてきて
柔らかな唇を重ねた。
「…………っ」
俺は正直頭がパニック。
でも、氷浦はお構い無しに
唇を離れては重ね啄むようなキスから
いつの間にか深まる口付けに
俺の思考は真っ白になった。
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