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第1章第42話
重ねた瞬間氷浦は驚き目を見開いた。
けれど俺の舌が歯列を割り侵入すれば
目を閉じ俺の首に腕を絡め
素直に受け入れる。
「んっ…………んっん……はっん」
くちゅりと舌を絡めとると
水音が僅かに漏れ
氷浦の鼻に掛かった甘い声が耳をつく。
何度も絡み合って離れると
氷浦の表情はなんとも言えない顔をする。
「……氷浦…………ううん、朝陽」
大きな瞳が益々大きくなり
まだ涙後が僅かに
残る瞳に軽くキスをした。
「…………上条……さん」
「俺…………お前が好き……だと思う」
「!」
「昨日会ったばかりではっきり言って
なんも分かってないけど
この潰れそうな気持ちは
同情なんかじゃない!
それだけは分かった…………。」
「………………」
「本当に会ったばっかでまさか?
と自分でも思っよ……でも
好きって気持ちは確かに俺の中にあって
時間とかそんなの関係ないって……」
「上条…………さん」
信じられない。
朝陽はそんな顔で俺を見る。
だけどこいつが泣いてると
苦しくて堪らない。
俺は朝陽の頭を優しく引き寄せると
力強く抱きしめる。
「…………朝陽」
朝陽は少し躊躇いがちに
俺の背中に手を回すと
「…………抱いてくれる?」
そう小さく呟いた。
俺は抱くのが正しいのか
はっきり言って分からない。
でも…………
それを朝陽が望んでいるなら
それに応えてやるのは間違いではないと
ゆっくり朝陽を押し倒した。
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