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第1章第43話
朝陽の体をソファに寝かせ
覆い被さったところで
細い腕が待ったをかけた。
「………………朝陽?」
「…………ベッドがいい」
涙で濡れた瞳を僅かに逸らして
小さな声で呟いた。
そ、そうだよな!
俺は身体を離し起き上がると
朝陽をお姫さま抱っこしてベッドへ運ぶ。
朝陽は暴れる事もなく
少し顔を赤く染めて
俺に擦り寄った。
やっぱり軽いな……。
華奢な身体をベッドに寝かすと
部屋のカーテンを閉めて
ベッドに腰を下ろす。
ふいに目に入ったのは
左手首のリストバンド……。
俺の胸はチクリと痛み
朝陽の手を取った。
「か……みじょうさん……?」
「蒼空で構わない…………痛かったろ?」
俺は少し戸惑う朝陽を抱き寄せ
リストバンドを外すと
痛々しい傷が顕になり
俺はその傷にそっとキスを落とした。
「っ………………」
「もぅこんな事させない」
「か…………そ……ら…………んっん」
朝陽が俺の名前を呼ぶのとほぼ同時に
俺は朝陽の唇を奪い
そのままベッドに組み敷く。
朝陽の答えは訊いていない……。
だけど俺が触れても、
拒むような気配はまるでなく
怯えた様子も見られなかった。
「んっん……んっん」
唇を深く重ねれば言葉ではなく
俺の首に腕を回して口付けに応えると
そのまま朝陽は俺を全身で招き入れた。
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