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第1章第51話
「名前決めてあげて」
蒼空はそう言って
ゆっくり僕から離れると
くしゃりと髪を撫でた。
その前に……僕は子猫を抱き
性別を確認すると
「紙とペン……あるかな?」
「ん?あるよ」
蒼空は引き出しから
メモ帳とペンを出し僕に手渡した。
僕はそこへ文字を書く。
蒼空は子猫と共に覗きこみ
「心……愛?」
「女の子だし僕を蒼空に
惹き合わせてくれたから
心に愛でココア」
変だったかな?少し不安な表情見せると
蒼空は満面の笑みを見せた。
「すげーいい名前!
良かったな!お前心愛だぞ!」
抱っこして高い高いなんてしながら
蒼空は子猫に話かけてる。
子猫も分かったのかミャーと
甘えた声を出す。
なんだかその光景がとても
暖かくて僕は久しぶりに
表情が綻ばせた。
「あ、朝陽が笑った……」
蒼空の言葉に真っ赤に顔を染め
僅かに俯くと
「あーダメダメ!笑顔
凄い可愛いんだから勿体ない!」
は、恥ずかしいよ……。
「心愛も見たいって言ってるぞ!
朝陽の笑顔!なぁー心愛」
言葉が分かったのか心愛はミャーと鳴き
蒼空の膝から僕の上に飛び移り
頭を擦り寄せ
こちらを見てもう一度ミャーと鳴いた。
その何気ない光景が
僕を凄く幸せな気持ちにし
僕は初めて心から笑顔を見せた。
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