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第1章第52話

心愛に餌を与えると 美味しそうに食べてる。 動物なんて飼った事無いから 僕は飽きずに眺められた。 「朝陽……」 突然の蒼空の真剣な声……。 僕は心愛に向けていた視線を 蒼空に合わせ顔を上げた。 「あのさ……朝陽、学校とか 行ってるのか?」 「………………」 僕は黙って頭を横に振る。 行かなくなってどれくらいだろ。 高校に入学して行ったのは多分数回。 僕の表情が僅かに曇るのを見て 蒼空は僕を引き寄せた。 「そんな顔するな……。 行きたくないなら 無理に行かなくていい、ごめんな……。 確認したかっただけなんだ」 僕は蒼空の胸元に顔を埋めたまま頷く。 「帰りたくないなら ここに居ていいし……ただ朝陽……」 蒼空は僕の目線まで顔を近づけると 凄く真剣な眼差しでこう言った。 「本当のお父さん……とは ちゃんと話さないと駄目だ」 ビクンと僕の体は跳ね顔は強張る。 「今すぐじゃなくていい1人が嫌なら 俺も一緒に会ってやるから……。 ちゃんと話そう?な?」 僕はどう返事をすればいいのか分からず いつもの笑わない僕に戻ってしまう。 だけど蒼空は迷わず続けた。 「朝陽……お前はまだ 未成年だよ?分かるよな?」 分かってる……だけど……。 「あのな?一緒に暮らせって 言ってるんじゃないよ! 勘違いしないで……」 「じゃ…………」 不安ばかりでまた泣きそうな僕の頭を 蒼空は優しく撫で続けた。 「もしな?俺と一緒に暮らすとしても 父親って名乗る人がいる以上 俺が勝手に決めていい事じゃない、 それにないくら俺が働いて それなりに収入があるにしてもだ 一緒に暮らすって簡単じゃないんだよ? 朝陽は未成年で保護者が必要な歳」 蒼空の言ってる事は正しい……。 「学校辞めるにしても ならこの先どうするか。 ちゃんと未来を考えないといけない」 「……………………」 「俺は朝陽が大好きだから いい加減にしたくない、 分かってくれる?」 分かる……だって凄く真剣だもの。 ちゃんと僕の事考えてくれてる。 僕だから分かる…………。その違いが……。 「分かった……。でも もう少しだけ時間が欲しい」 「勿論だ……ゆっくりで構わないよ」 離されたいた身体を蒼空が 力いっぱい抱き締めてくれる。 僕もこの想いに応えないといけない…… だから……逃げてちゃ駄目なんだ。 いつまでも泣いてたら駄目。 僕は涙を拭い蒼空に伝えた。 「有難う……蒼空」 僕の言葉に最初は びっくりした表情を見せた蒼空。 でもね、直ぐに優しい満面の笑みで 返してくれた。 だから決めた。僕はもう泣かない。

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