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第1章第61話
蒼空side
リビングのドアを開けた瞬間
目に飛び込んできたのは
蹲りながらガタガタと
震える朝陽の姿。
濡れた髪を拭いていた
バスタオルをその場に
落とし俺は駆け寄った。
「朝陽────どうした?
大丈夫か?」
俺は慌てた様子で近寄ると
朝陽は震える身体で俺に抱きついてきた。
傍らにはスマホが落ちている。
俺は冷静に考え
落ちたスマホを拾う。
「これ……だろ?見ていいか?」
朝陽は少し身体をビクンとさせたが
直ぐに頷いた。
真っ暗な画面から開いたのは
メール画面。
そこには恐らく父親だろう
人からのメール。
俺は全て読みスマホを置いた。
「朝陽…………」
ギュッとしがみつきながら
朝陽は消えそうな声で答える。
「恐いの…………今は恐いの」
────そうだよな。
いきなり現れた人間に
とんでもない事実を訊かされて
直ぐに受け入れられる程
軽い物じゃない……。
俺は朝陽を優しく抱きしめ
「大丈夫────大丈夫だから」
それだけ口にした。
慰めの言葉なんてない。
ただ言えるのは
独りにさせない!
その事実だけ。
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