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第2章第72話

蒼空はソファに案内し 名刺交換。 僕は震える手で 必死にお茶を用意し 一条さんに差し出す。 皆腰掛けると 暫しの沈黙が流れた。 ──────── ──────────── ──────────────── 逃げ出したい。 僕はクシュッと ズボンの生地事手をギュッと 握りしめる。 「────上条さんは…… 朝陽君とは?どんな関係ですか?」 沈黙を破ったのは 一条さん。僕との関係を問う。 「名刺を見る限り きちんとした会社にお務めですし その様な方が何故?」 僕は不安すぎて吐きそう。 蒼空はなんて答えるのだろ。 僕は僅かに覗き込むように 蒼空の表情を伺うと その顔はドキッとするくらい 真剣だった。 「そのお話はきちんと 朝陽との話し合いが終わったら 私から話すつもりです。 今は先に朝陽の今後を話すべきかと 思いますが……」 静かに……でもとても しっかりした口調。 そんな蒼空の態度に 一条さんは苦笑いしながら こう言った。 「確かにそうだね、 君の言う通りだ」 張り詰めた空気は 更に高まり 僕はゴクリと唾を飲み込む。 一条さんの視線は 蒼空から僕に移り 僕はバレないように 蒼空の服の端を握る。 そして一呼吸のち 静かに話し合いが始まった。

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