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第2章第73話

視線が怖い────。 僕は少し目を逸らす。 蒼空は一条さんの見えない位置で 僕の手を強く握りしめてくれた。 僕はゆっくりと深呼吸をし 一条さんへと視線を合わせる。 「朝陽君、遠まわしに話しても 仕方ないので単刀直入に言うけど、 私に引き取らせてもらえないだろうか?」 僕がこの人と? だけど────、 初対面の印象があまり良くない 僕は返答に困る。 「いきなりそう言われても困るよね、 でも朝陽君はまだ未成年で 1人には出来ないんだよ。 いきなり現れて戸惑うのは解る。 だけど────、」 「………………………」 一条さんは目の前のお茶を 少しだけ口にすると こちらに向き直り 話を続けた。 「私は朝陽君には まだ他人なのは重々承知している。 でも、私には父親としての 責務がある、だから……」 責務?義務って事? 僕はその言葉に違和感を 感じる。僕を思ってじゃない? そう言う事だよね────。 やっぱり初対面の時に感じた 不快感は拭えない。 「……僕は一条さんと 暮らしたいとは思えないです、 例え父親だったとしても 僕は暮らしたくありません」 僕の一言に一条さんは 黙ってしまった。 でも────僕は嫌なんだ。

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