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第2章第82話
行為が終わってからも僕達は
密着したまま僕は蒼空の腕の中。
黙っていても不安など微塵もない。
僕は思っている事を伝えようと
ゆっくりと口を開いた。
「蒼空────僕」
蒼空は優しい顔で
僕を抱き締めたまま
顔をこちらに向ける。
「どうした?」
こんな事口にしていいのか?
でも────気持ちだけは伝えたい。
だから────────、
「僕、蒼空の家族になりたい、
我儘だって分かってる、
それでも僕は蒼空とずっと
一緒にいたい……だからその、
養子縁組………………」
蒼空は目を見開いて僕を見る。
それでもその顔は直ぐに
優しく微笑んで僕の額にキスをくれた。
「現実は厳しいよ?
直ぐにどうこなるとも思えない、
一条さんの許可は必須になってくる、
それでも朝陽は待てる?」
どんな形でも構わない。
時間がかかってもいい。
現実にならないかもしれない。
それでも僕は蒼空の側に
いる事を望んだ。
今の日本は男同士の
婚姻は認められていない。
ましてや僕はまだその歳
には満たない。
なら────答えは1つ。
養子縁組────。
勿論簡単だとは思ってない。
それでも────、
「朝陽が望むなら俺は構わないよ、
ただ通るかは分からない」
「それでもいい、挑戦したい」
僕からこんな事、
間違いなのかもしれない。
だけど蒼空は決して拒否はしなかった。
「わかった、やるだけやってみよ」
僕はその気持ちが嬉しくて
胸の中に埋まる。
叶わなくてもいい。
例え現実にならなくても
この人の側にいると決めたんだから。
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