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第2章第83話

次の日、僕は蒼空が寝てる間に 家を出て自宅に向かった。 久しぶりに訪れた家は少し誇り臭い。 窓という窓を開け、 僕は午前中いっぱい片付けに追われた。 「蒼空と暮らすなら…… この家どうするんだろ」 そんな言葉が自然と出た直後 持っていたスマホが鳴る。 このスマホは蒼空が用意した 蒼空専用のスマホ。 当然誰も番号に教えていないから 鳴るとすれば蒼空以外いない。 「もしもし」 「朝陽?何処にいるの? 起きたらいないし、 起こしてくれれば良かったのに」 まあそう言われるとは 思ったのだけど 普段忙しい蒼空。 よく寝ていたし起こしたくなかった。 僕が事情を説明すると 蒼空は当然行くよと言い出すわけで 電話越しに心愛の鳴き声。 僅かに離れてるだけなのに 今すぐ帰りたくなる。 「大丈夫だよ夕方までには帰るから」 今日の目的は片付けと 洋服をいくつか取りに来ただけ。 そんな事にわざわざ呼び出せない。 蒼空はあまり納得してなかったけど 最後には分かったと言い そのまま電話を切った。 僕は自分の部屋も全て片付けた後 バッグに服を詰め込んで 全ての戸締りを終えた。 僅かな溜息と共に リビングでふと和室に視線を向ける。 仏壇に飾られた父親。 僕は前に座り写真を手に取る。 忙しくて思い出なんて少ないけど 事実を知った僕の胸はチクリ。 「ごめんなさい……お父さん」 僕は遺影を指で撫でると 悩んだ末、洋服の隙間に 父の位牌と遺影だけを 大事に持って帰宅した。

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