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第2章第87話

プルルル──────── 何度呼び出し音が鳴っても 出る気配はない。 俺はスマホを耳から離して 電話を切った。 「はぁ………………」 もう何度か連絡を取ろうと 試みているが 全てスルー全く繋がらない。 着信拒否にならないだけマシ なのだろうか? 「くそっ………………」 「なんだ?欲求不満か?」 イライラしてる俺の背後から 姿を現したのは要先輩。 確かに最近してないけども この人本当に鋭い。 「ち、違いますよ」 俺は事情を話すと 先輩は真面目な顔して んーと片手を顎に置き 暫しなにやら考えていた。 「その父親って どっかの会社社長だろ?」 「え、まあ────」 「なら逃げられないように 会社に突撃してみれば?」 まさかの突撃案に俺は ぼー然とした。 「い、いやでもそれじゃ」 慌てふためく俺を他所に 先輩は冷静に口を開いた。 「相手に迷惑って遠慮すんのは 分かるけどさ、じゃあお前に とって大事なのはその父親の 機嫌や面子なわけ?違うだろ? スルーされてんなら行動しないと いつまで経っても変わらないぜ」 「………………………………」 はっきり言って先輩の言う通り グーの音も出ないほど正しい。 俺は遠慮してる場合か? 大事なのは朝陽。 なら動くしかないだろ。 「先輩、有難うございます 目覚めました」 先輩はにこって微笑むと パンと手加減なしで俺の背中を叩いた。 「いっ………………」 「頑張れよっ!あ、それと 欲求不満みたいだから ちゃんと夜の営みもしろ 若いんだから」 先輩の一言に俺は真っ赤に なって口をパクパクさせた。 先輩はそんな俺を見て ゲラゲラと笑っている。 でも────────、 応援してくれてる。 先輩なりの励ましなんだ。 俺は少し照れくさそうに返事を すると、昼休みは終わりを告げた。

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