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第3章第94話

蒼空side あれから二年。 朝陽の瞳に俺が映る。 俺にとってどれほど 待ち望んだ事か……。 何から話せばいいのか 頭を整理しながら話す。 声が出せない朝陽は 二年と言う言葉に 愕然としていた。 当然だ────。 目を開けたら数年 経過していたなんて 俺だって戸惑う。 話さなきゃいけない 事が山へほどある。 焦る気持ちを抑え 話を続けようと口を 開いたタイミングで 担当医が病室へやって来た。 「朝陽君ちょっと診せてね」 医師の優しい口調で 俺は朝陽の傍らから離れる。 朝陽はちょっと不安げな顔で 俺を目線で追ったが、 紳士的な医師の対応に 安堵した様子。 担当医は触診と意識確認を した後静かに口を開いた。 「意識ははっきりしているね、 ただまだ話せないし動けない、 疲れやすいから無理をしないで 休む事……いいね?」 「はい……」 俺が頷くと朝陽は こちらを見た。 担当医は俺と朝陽を 交合に目をやると 静かに口を開く。 「数日様子をみて 体調のいい時に検査をしましょう」 その言葉の意味が示すものは 俺がよく分かっていた。 だから────今日は これ以上話を続けるのは 朝陽に負担が大きいと感じ 担当医が病室を出た後、 朝陽の伸びた髪を撫でながら 「焦りすぎたね……、 ゆっくり時間をかけて 話すから今日は休もう」 俺の言葉に 横たわる朝陽は戸惑いを 浮かべたが、やはり 疲れたのか直ぐに眠りにつくと 朝陽の寝顔に俺は堪えていた 涙が溢れた。

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