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第3章第124話

蒼空は心配そうに見ていたけど、僕が座るとホッとしたような表情を見せた。暫くして美味しそうなカレーが目の前に運ばれてきて僕のお腹はまたぐーと鳴った。 「食べようか」  僕はうんと頷いて手を合わせると蒼空も一緒になって手を合わせた。 「いただきます」  二人揃って言葉を発し、一口食べると美味しさに顔が緩む。 「美味しい」 「良かった」  僕は満足げに口に頬張る。懐かしい味。前に作ってもらったのはいつだろうか?僕がもぐもぐと食べている姿に目の前の顔は目を細めて眺めている。 「食べないの?」 「食べるよ」  蒼空はそう言ってようやく口に運び始めた。心愛もまたキッチンの床でご飯をもらって食べている。こうやって三人で揃って食事なんて久しぶりだから嬉しい。 「ご飯食べたら寝ようか」  蒼空の言葉に僕は頷く。本当は今も少し眠い。ちょっと疲れたのかな? ここにいられるのは後二日。また病院に帰らなきゃいけない。きっと楽しい時間はあっという間だと思う。  僕は出されたカレーとサラダを交合に食べ、鳴っていたお腹も落ち着いた。 「病院に帰ったらまたリハビリ頑張らないとね」  何気なく発した言葉。蒼空は食べていた手を止め僕を見た。 「無理だけはしないでくれよ」  蒼空なりに心配してくれているんだ。でも甘えちゃダメ。頑張るって決めたんだもの。 「大丈夫、早く自分の足で歩けるようになりたいの」  蒼空は少し心配そうな顔をしたけどそれ以上何も言わなかった。お互い食べ進め、僕は綺麗に食べ終わる。 「ごちそうさま」 「片付けるから置いといていいよ」  僕は有難うと言って自分の足でソファまで何とか戻る。同じ頃、心愛も食べ終わったのか舌をペロペロしながら僕の元へやって来た。心愛も満足げにゴロゴロと喉を鳴らしている。 「ごちそうさま」  暫くして蒼空も食べ終わり、そのまま僕の食べた皿と蒼空の分を持ってキッチンに立つ。洗い物をしている 後ろ姿を見て僕は眠たい目で見つめていた。  いけないこのままじゃ寝てしまう。僕は目を擦りながら背伸びしたりしてなんとか寝ないように頑張ってみる。  病院の消灯は九時。身体が完全にその時間に合ってしまっているのか、今の時刻は九時になろうとしている。 「お待たせ寝室行こうか」  僕は目を擦りながら頷くと蒼空が僕をお姫様だっこして二階に連れて行ってくれた。 「トイレは大丈夫?」  そうだった。まだ満足にトイレも自由に行けない。僕は行くと言って、トイレまで連れてってもらう。なんとか一人で済ませると蒼空に抱っこしてもらってベッドへと戻った。 「疲れたろう? ゆっくりおやすみ」  僕は蒼空の腕の中に埋もれると小さなあくびをして頷いた。 「うん、おやすみ」  僕は目を瞑ると、温かな体温に包まれながら直ぐに眠りについた。

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