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第3章第125話

 翌朝僕等は朝食を終えソファでまったりしていた。蒼空は僕の後ろに陣取り抱きしめてくれてる。   「朝陽髪伸びたね、邪魔じゃない?」  そう言えば二年の歳月で髪は伸び放題。僕の髪は背中まで伸び切っていた。 「そうだね、切りたい」  毛先は金髪に染めていた名残がある。伸びた髪は母が褒めてくれた黒髪へと変わっていた。 「俺に切らせてくれないかな?」 「蒼空に?」  蒼空は真面目な顔をして僕を見る。車椅子で行ける美容院も恐らく少ない。それなら……。 「いいよ」 「今日は風もないし庭で切ろうか」  僕はうんと頷いて蒼空は僕の背後から抜け出した。髪を切るために、庭に新聞紙を敷いて椅子を用意する。僕はソファからその様子を眺めていた。 「これでOK」  準備が出来たのか蒼空が庭で一言言うと、僕のところへやって来た。 「連れてく」  僕は蒼空に身体を預け、抱っこされたまま庭に備えられた椅子に腰を下ろす。いつ買ったのか美容院みたいに身体にカバーをかけてくれハサミを取り出した。 「こんなのいつ買ったの?」 「ん?朝陽の髪を切りたくって揃えた。」  なんだか嬉しい気分。あの日変わりたいと向かった美容院は行けなかなったけど、今はこうして黒髪で蒼空に髪を切ってもらえる。不思議な気持ち。 「切るからね」 「うん」  僕はふーと息を吐くと蒼空が毛先にハサミを入れた。バサリと金髪部分が足元へ落ち僕の気持ちは晴れやか。 「黒髪綺麗だね」 「有難う」  昔母によく言われた言葉。いつからかそれが嫌になり反発して髪を染めた。でも蒼空に褒められるのは本当に嬉しい。 「俺に任せてくれる?」 「うん、お願い」  僕は蒼空に身を任せ徐々に増える足元の髪を眺めた。どれくらいそうしていたのか、首元がスース―する。 「後ろはこんなもんか、前髪も切らないとね」  蒼空はそう言うと目の前に陣取り僕の前髪を見ている。僕は目を瞑り全てを任せた。 「もうすぐだから」  ハサミの音がみみをつく。僅かに触れる蒼空の指。僕はドキドキしながら仕上がりを待った。約一時間ほどで全てが終わり僕は目を開けた。 「どう?」  蒼空は鏡を僕に向けて見せてくれる。あれだけ伸びた髪はさっぱりと短髪に切られ首元もすっきり。伸び放題だった前髪も眉毛が隠れる程度に綺麗に整えられていた。 「蒼空器用だね」 「そうかな」  器用だよ。こんなに綺麗に切ってくれるなら美容院行かなくても充分。蒼空は満足そうな僕を見てホッとした表情を見せると片付けるからと僕をソファへと運んでくれた。  切った髪を新聞紙に包め、椅子を片付けると新聞紙をゴミへと出す。道具も綺麗に片づけ蒼空は僕の元へ戻って来た。

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