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第3章第126話

 蒼空のおかげで頭はスッキリ。重たい荷物が取れたような気分だ。 「有難う」 「どう致しまして」  隣に座った蒼空に僕は寄りかかる様に頬を寄せる。蒼空は切りたての髪をさらさらっと触って頭を撫でてくれた。なんでもないこの瞬間が幸せ。 「天気がいいから散歩でも行ってみる?」  散歩か。車椅子で出かけたら近所の人はどう見るのだろうか。でも……。 「行く」  僕は勇気を出してそう言った。一時的とは言え今は自分の足で動けない。本当なら蒼空と肩を並べて歩きたいのに。 「よし行こう」  支度を済ませると僕は抱えられ玄関へ。蒼空は車に積んであった車椅子を出してくれ僕を乗せた。 「俺もまだこの辺探索してなくて」 「そうなんだ」  僕は蒼空に車椅子を押されながら近所を回ってみることにした。閑静な住宅街。僕等の存在はやはり目立ってしまう。行き交う人々に挨拶をしながら僕等は少し広い公園へと辿り着いた。 「こんな所に公園あったんだ」  休日ともあって子供たちがキャキャと遊んでいる。遊具も多く揃っていて子供達には良い遊び場だ。 「ねえ、あっち行ってみてない?」  僕は公園の奥を差して蒼空を誘う。蒼空は分かったと返事をし僕を連れて行ってくれた。思ったより広めの公園で奥には噴水があり子供達もいない静かな場所。 「ここは静かだね」 「そうだな」  樹木が風に揺れ穏かな風が吹く。僕達は木陰に移ってその場で休憩を挟んだ。 「弁当持ってくればよかったかな」 「ふふ、そうだね」  蒼空はベンチに座り空を仰いでいる。僕は車椅子のまま蒼空を見上げた。今日は快晴。穏かな風と日の光が降り注ぐ。 「朝陽」 「なあに」  蒼空は真面目な顔をしてこちらを向く。どうしたんだろう? 僕はキョトンとしながら言葉を待つ。 「これからどうしていくつもりでいる?」  蒼空の質問に僕はもう一度空を見上げた。 「考えていることがあるの。でもまだ言えない」  蒼空は何かを言いかけて止めた。暫くの沈黙の後、蒼空はそうかと小さく言った。ごめんね。いつかちゃんと話すから。 「いつか聞かせてくれる?」 「勿論」  僕は笑顔で応え、蒼空は少しホッとした表情で目の間の噴水に視線を移す。 「今度お弁当持って来ようか、あっちには芝生もあるみたいだし」 「そうだね」  僕は久しぶりの外の空気を満喫し、僕等は一時間ほど滞在した後、公園を後にした。

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