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第3章第127話

 自宅に帰宅してから二階のベッドで休憩をしていると、蒼空がお昼を持って上がって来てくれた。 「疲れてない? 大丈夫?」 「うん、大丈夫」  美味しそうな匂い。僕は上体を起こすと、蒼空は食事を手元に置いてくれた。 「お腹空いたろう? 食べな」 「有難う」  僕は蒼空が作ってくれたお昼に手を合わせてから口に運ぶ。簡単な物だけど僕には充分美味しかった。 「美味しい」  蒼空は良かったとニコニコしながら傍らで微笑んでいる。 「蒼空は食べないの?」 「後で食べるよ」  僕が美味しそうに食べると蒼空はますます顔を緩めた。本当蒼空が怒っているところ殆ど見た事ない。唯一声を荒げたのは一条さんとの初対面だったかな。それが今は会って欲しいなんて。二年で随分変わったんだな。  「僕はいいから食べておいでよ」  僕は蒼空を気にしてそう言うと、蒼空は大丈夫と言って側にいてくれる。僕はなるべく早く食べ終わる様に頑張って食べた。 「ご馳走様」  どう致しまして。蒼空はそう言うと僕の食べた食器を片付け始めた。 「心愛にもご飯あげてくるから」 「うん」 「少し眠れるなら寝てていいよ」  僕は頷くと、蒼空は部屋を出て行った。僕の体力はまだまだ完全じゃない。休憩を入れないと直ぐに疲れてしまう。僕は天井を見上げふーっと息を吐いた。  明日には病院へ帰らなければいけない。またリハビリの毎日だ。でも一日でも早く歩けるようになりたい。僕にはやりたい事がある。蒼空にはまだ話せないけど。僕もまだどうなるかわからない。とにかく今はリハビリを頑張って自分の手足を自由に動かせないと現実にならない。  僕のやりたい事、蒼空は応援してくれるかな。その為には一条さんからも逃げては行けない。僕は強くならなくちゃいけない。これからの未来の為に。  そっと目を閉じ未来の自分の夢を描く。現実にするには僕一人の力だけでは叶わない。何年かかるかも分からない。それでも抱き始めた夢を現実にしたい。 「頑張らなきゃ」  僕は自分に言い聞かせるように呟いた。きっと蒼空に話したら驚くと思う。それでも僕は大きな夢を抱かずにはいられなかった。  どれくらい時間が経ったろう。結局僕は眠る事なく、蒼空が戻って来るのを待った。 「起きてたの?」  暫くして蒼空が入って来た。僕はうんと頷いて蒼空を見上げた。 「眠くない?」 「うん、側に来て」  僕はベッドに蒼空を誘う。蒼空は僕の隣に潜り込んできて抱きしめてくれた。 「明日病院帰らなきゃね」 「そうだな」  僕は少し寂し気な表情を見せると、蒼空は僕を更に強く抱きしめ返してくれる。 「抱いて蒼空」  僕の一言に蒼空は一度身体を離すと僕の顔を見た。そして優しいキスをくれると僕はめいいっぱい蒼空に抱きしめられていた。

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