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第1章第8話
朝陽side
母が初めて男を連れ込んだのは
父の1周忌を終えた頃。
それを堺に週に1度
見知らぬ男が家に来た。
見る度に相手は変わり、
その度に母の部屋からは
何とも言えない声が聞こえた。
当時小学生だった僕には
それがなんなのか分からない。
ある日、もしや酷い目に
遭ってるのではと
部屋を開け薄暗い部屋を覗いた。
「母さん……」
しかし────
僕の目に飛び込んできたのは
男の上で嬉しそうに腰を振る姿。
「あっち行ってなさい」
母は絶え絶えの息で
僕を冷たくあしらう。
それがセックスだと
11の冬に知った。
事実を知り、
僕はなんだかとても汚く思え
布団に潜り耳を塞ぐ。
それから────
母は僕に見向きもしなくなった。
家を開ける事が多くなり
家事も一切を放棄。
僕は────ただいい子にしていれば
いつか、またあの優しい笑顔を
僕に向けてくれると
そう信じていた。
そんな日は2度と来ないんだと
あの日────が来るまで。
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