9 / 140
第1章第9話
蒼空side
「ん……ん」
悪い夢でも見ているのか?
1時間程前から魘されている。
揺すって起こそうとも思ったが
顔色が悪い。
額に手をやると
また熱が上がったのか熱い。
体温計を手にし耳で測る。
「38度5……上がってんじゃん」
病院に連れていこうか────。
「……か、さん」
「…………」
聞き取りづらかったが
確かに母親を呼んだ。
「…………たく」
こんな頭してんのに母親を呼ぶなんて。
俺は、あどけなさが残る顔に視線を向け
「しょうがねーか……」
半ば諦め彼の服を漁ってみるが
携帯すら持っていない。
今時携帯もないのか?
俺は生乾きの髪を
くしゃくしゃにしながら
とりあえず濡れた衣服を
洗濯機にかけた。
ともだちにシェアしよう!