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第1章第10話

朝陽side 「ん……」 頭が重い────。 瞼を開けると視点が合わない。 何度か瞬きを繰り返し ようやく視界が開けた。 知らない天井。 他人の匂いがする部屋……。 重たい頭を少しずらし視線を泳がす。 やはりホテルではなそうだ。 ふと傍らで聞こえる寝息。 少し長めの前髪から覗くのは シュッとした綺麗な顔立ち。 「…………」 身体を起こそうとするけど 関節に痛みが走り上手く動けない。 微かに動いた瞬間 「ん……」 気配で目を覚ましたのか ピクリと反応する。 「やべ、寝てた……」 そう言ってこちらに視線を向ける。 一瞬バチっと視線が絡んだ。 「目が覚めた?」 酷く優しい声のトーン。 彼の手が僕の顔に近づく。 僕は反射的に身を竦めると、 優しく額に手を添える。 「まだ熱が高い、もう少し寝てな」 熱?僕は必死に記憶を辿る。 確かホテルを出て────。 そう、雨の中で子猫を見つけて────。 ここは、この人の家? ズキンと頭が痛む。 僕が額を抑えると 彼は布団を掛け直し ニッコリ微笑んだ。 笑顔を向けられたのはいつ以来? 「…………あな、たは、誰?」

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