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第1章第11話
僕の質問に少し間を開けて、
「上条蒼空 だ、ただのサラリーマン」
サラリーマン?
僕がいつも相手にする男とは
だいぶ印象が違う。
若い……と云うのもあるだろうが
恐らく顔だろ。
黒髪黒目、決して派手ではないが
綺麗な二重、バランスのいい鼻や口、
端正な顔立ちに健康的な肌色をしいる。
「君は?」
「…………」
「名前くらいあるだろ」
僕が痛む身体を起こすと
支えるよに僕を気遣い
上着を羽織らせてくれた。
「あ、さひ……氷浦朝陽 ……」
「へぇ~朝陽か綺麗な名前だな」
名前……は父が付けてくれた。
キラキラ降り注ぐ朝日のように
輝いた人生を送って欲しいと
の願いからだと訊いた。
今はまるで正反対の人生……。
汚したのは────。
「氷浦?」
「…………なんでもありません」
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