11 / 140

第1章第11話

僕の質問に少し間を開けて、 「上条蒼空(かみじょうそら)だ、ただのサラリーマン」 サラリーマン? 僕がいつも相手にする男とは だいぶ印象が違う。 若い……と云うのもあるだろうが 恐らく顔だろ。 黒髪黒目、決して派手ではないが 綺麗な二重、バランスのいい鼻や口、 端正な顔立ちに健康的な肌色をしいる。 「君は?」 「…………」 「名前くらいあるだろ」 僕が痛む身体を起こすと 支えるよに僕を気遣い 上着を羽織らせてくれた。 「あ、さひ……氷浦朝陽(ひうらあさひ)……」 「へぇ~朝陽か綺麗な名前だな」 名前……は父が付けてくれた。 キラキラ降り注ぐ朝日のように 輝いた人生を送って欲しいと の願いからだと訊いた。 今はまるで正反対の人生……。 汚したのは────。 「氷浦?」 「…………なんでもありません」

ともだちにシェアしよう!