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第1章第14話
歩き出す僕の腕を掴み
「そんな身体で帰れるわけないだろ」
「離して」
掴まれた腕を振り払う。
僕の態度は明らかにおかしい。
「何意地張ってんだ?」
そんなんじゃない。
何にも知らないくせに……。
「とにかく迎えに来てもらお、な?」
優しく穏やかな口調は変わらない。
でも────僕にはそれが堪らなく嫌だった。
「1人で帰ります、お世話になりました」
そう言って玄関に向かう。
僅かでも────心穏やかにした
僕が間違いだ。
玄関のノブに手が掛かる。
「いい加減にしろ、外はまだ雨だ、
そんな身体でどうやって帰るんだ」
僕の身体を反転させ怒鳴られる。
思わず顔を逸らす……嫌だ、
見ないで……。
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