15 / 140

第1章第15話

上条さんの視線が僕の顔を覗き込む。 もう……限界……。 「僕の事は放っておいてよ、 僕に構わないで!」 身体に触れる上条さんの手を振り払い キッと睨みつけた。 少し驚いた様子……でも直ぐに真剣な 眼差しに変わり静かに口を開いた。 「……俺が悪いこと言ったのなら謝る。 でも、ならなんでそんな 泣きそうな顔をする?」 「…………っ」 ズキン────。 胸を鷲掴みにされたような感覚。 なんで……なんでこの人は────。 「そんな顔されて そうですかって帰すと思う? 親に連絡されたくないならもうしない。 でも、1人では帰せない。」 「……そう言うの……、 お節介って言うんだ」 声が震える……。 見られたくなくて俯いた。 「俺が猫と一緒に拾ったんだ、 関わった以上最後まで責任はもつさ」 ……………………もぅ、無理だ。 僕はその場に崩れ落ち、 目からは涙が溢れた。 上条さんは笑うでもなく、僕に近寄り 優しく頭を引き寄せ僕を抱きしめた。

ともだちにシェアしよう!