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第1章第21話
朝陽side
「ん……」
重たい瞼を開け
まだ怠さの残る身体を起こす。
なんだかやけに静かだ。
部屋に視線を向けても誰もいない。
「上条……さん?」
彼の姿を探しリビングに行くが
やはり誰もいない。
その代わり子猫が餌を貰ったのか
キッチンで丸まって寝てる。
ふと視線がテーブルに向くと
走り書きのメモと
卵粥が作って置いてある。
「よく寝ていたから起こさなかった。
今日は大事な会議があるから
仕事に行きます。
今日はゆっくり寝てるといい……、
一応鍵は置いてく。
それと何かあったらこの
携帯置いてくから連絡して?
仕事用の俺の携帯に繋がる、
名前は分かりやすいように
入れといたから
お粥作ったので
起きたら食べてください」
「…………」
携帯を確認すると
確かに上条携帯と入ってる。
椅子に座り、作ってくれた
お粥を口にした。
その優しさが痛くて、
僕の目からは涙が零れた。
いつからこんなに
泣き虫になったんだろ……。
いけない────これ以上甘えたら
戻れなくなる。
僕はお粥を綺麗に食べ
洗って片すと、迷ったが
番号だけを書き取り携帯を伏せ
ソファに畳んである
自分の服に着替た。
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