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第1章第27話
カシャンと云うカップが割れた音に
僕はハッと我に返る。
「ごめんなさい……、
直ぐに片付けます」
そう言って破片に手を伸ばすと
ズキンと痛みが走る。
「っ……」
「大丈夫?」
一条さんは僕の指を見ると
軽く口に含みポケットから
絆創膏を取り出し貼ってくれた。
「…………」
「私もね書類でよく手を切るだ
だから絆創膏は欠かせない」
突然の告白にどんな顔すればいいか
分からない僕に一条さんは優しく
微笑んでそう言った。
この人が僕の父親?
じゃあ亡くなった父は……?
「本当にごめんね……君に話すべきか
私なりに悩んだんだ……驚いたよね?
でもやっぱり放っておけないから……」
「…………」
「ちゃんと話をしよう……」
僕は少し戸惑ったが……
訊かないと云う選択肢は
僕にはないと感じ小さく頷いた。
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