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第1章第31話

一条さんは僅かに息を吐く。 家は静まり返り物音すらしない。 「彼女は……」 本当に一瞬の沈黙を破り 一条さんは再び静かに語り出した。 「彼女は……自分を責めた……」 「…………」 「あの人が死んだのは…… 自分の責任だと……」 責めた?あの母が? そんな筈………………。 「彼女は……そうやって 自分を追い込んで…… 心を病んでいった……」 病む?何の事? 一条さんが何を言っているのか 僕には理解出来ない。 「…………母が病んでいたと 言うんですか?」 無言を貫いていた僕も流石に口を開く。 「そうだ……彼女は弱い人だった。 誰かに頼らないと生きていけない そんな人だった……」 つまり……母が男を作ったのは 弱いから……そう言われた気がした。 僕の張り裂けそうな胸は モヤモヤした感情で溢れる。 瞬間母の言葉が頭で叫んだ。 「泥棒猫!お前さえいなければ!」 …………………… ……………………………… ………………………………………………。 流されるな……っ! 母の最後の言葉に 僕の中のモヤモヤした 感情は怒りに変わる。

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