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キスする理由(櫻×葵)

刷り上ったばかりのプリントをチェックするとき、これが結構ドキドキして楽しかったりする。なんでかって?もちろん葵ちゃんが何かミスしてたらそれにかこつけてお仕置きが出来るからでしょう。 それを知ってる葵ちゃんも僕にチェックを持ってくるときは異様にびくびくしてる。そこがまた可愛くていじめたくなるのをこの子は分かってるのかな? 「見つけた」 チェックを始めてすぐ僕がそういえば、葵ちゃんの顔が瞬時に泣きそうに歪んだ。もうこのまんま我慢しないで泣いちゃえ。可愛いから。 「あの、どこですか?どこが、あの……」 「別にどこだってよくない?さ、早くおいで」 無駄な抵抗をしようとする葵ちゃん。きっぱりと黙らせると自分の膝の上を示して葵ちゃんを誘った。 「うぅ……ごめんなさい」 「うん、だから謝るのはいいからお仕置きしよ、ね?」 まだ素直に僕の近くに寄ってこない葵ちゃんを再度誘えばやっとそろそろと重い足取りで隣までやってきた。 「いい子だね、葵ちゃん。じゃあここ座って」 「でも次の仕事、あって、だから」 「言い訳無用。きちんとお仕置き済ませてからね」 なんとか逃れようとする葵ちゃんの手を引いて抱き寄せれば、軽い葵ちゃんの体はあっさり倒れこんできた。ほんと貧弱なんだから。僕としては都合がいいけど、もうちょっと知恵と力をつけてもらわないと。他から手を出されるのは嫌なんだよね。 これからどうなるのか、って困った顔して見上げて来る葵ちゃんを他の誰にも渡したくなんかない。 「葵ちゃんさ、ほんとはお仕置き好きだったりする?」 「へ?」 暴れもせずにあんまり大人しくしてるから試しに聞いてみたけど葵ちゃんからは間の抜けた返事が返って来ただけだった。まぁそうだよね。そんなわけないか。 「お仕置きするのは僕だけだよ?他にさせちゃだめだからね」 「……櫻先輩だけです、するの」 僕も綺麗だと心底思うクリーム色の髪を撫でながら頼んでみれば、葵ちゃんはちょっと頬を膨らませ、顔を赤くしながら答えてくれた。 「うん、じゃあ他にされてるとこみたらまたお仕置きね」 「え……」 「なに、される予定でもあるわけ?そういう悪い子には先にしとこっか」 「え、え、ちがっ」 慌てる葵ちゃんに構わず小さい顎を掴んで上を向かせた。うるうるした瞳で見上げてこられるととことんいじめたくなる。今日は激しくしよっか。 淡いピンクの唇に容赦なく自分の唇を重ねれば、甘いチョコレートの味がした。また仕事中に内緒でチョコレートを食べてたんだとすぐに分かった。 これはもうどれだけお仕置きしても足りないね? 僕が葵ちゃんにキスする理由。 お仕置き、それ以外ないでしょう?いくらしてもこの子、分からないんだから。

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