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第8回人気投票お礼(京介×葵)1
※サイトで行なっていた人気投票のお礼としてアップしているSSです。
※中等部時代のお話
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それは初めての違和感だった。頭の奥がずきずきと鈍い痛みを訴えてくるし、体が嫌な火照りに包まれている。
「きょ、ちゃん……あつい」
共に布団に入っていた幼馴染から漏れてくる苦情のおかげで、やはり自分が発熱しているのだと自覚する。すぐに京介は布団を出ると、まだ丸まったままの葵の体も無理やり布団から起き上がらせた。
「おはよ、京ちゃん」
「お前、とりあえず一旦この部屋出な」
「え、なんで?」
目を擦りながら凭れかかってこようとする葵の体をやんわりと押しのければ、当然のように少し傷ついた顔をして余計に甘えてこようとする。可愛い仕草だが今はまずい。
「多分風邪引いた。伝染るから、出てって葵」
「風邪?京ちゃんが?」
「そ、だから早く」
体の弱い葵が自分の風邪を貰う可能性は高い。だから必死に追い出そうとしているのに、葵は告げられた言葉が理解できないのか、まだベッドの上で目を丸くするだけ。それもそうだろう。幼い頃から共に過ごしてきた葵でも、京介の風邪を引いた姿など見るのは初めてなのだ。京介自身も経験がない。
「葵、早くしろ」
ぺちぺちと頬を叩いて促すとようやく葵は部屋を飛び出していった。これでようやく安心できる。気だるい体の望むままにもう一度ベッドに横になって京介は目を瞑った。
一度強引に起き上がったからか、頭の痛みが更に激しくなってきた。繰り返される喧嘩のせいで外からの痛みにはかなり鈍くなってきた自覚はあるが、内側の痛みは経験がない。あの小さな幼馴染が毎度これを経験しているのかと思うと、次からはもっと労ってやろうと、そう思えてくる。
「あら、本当にダウンしてるわ。珍しい」
再びドアを開ける音がしたかと思えば、顔を覗かせた母紗耶香がおかしそうな声を上げてきた。葵が呼んだのだろう。紗耶香の後ろからひょっこり顔を覗かせている。その表情は具合の悪い京介以上に苦しそうに歪んでいた。
「食欲は?」
「腹は減ってる」
「じゃあ大丈夫ね。何か持ってくるからそれ食べて、薬飲みなさい」
部屋に入ってきた紗耶香に額を触れられ熱の確認だけされると、そう言って踵を返してしまった。葵が熱を出した時の対応とは随分違う。
葵も一度は紗耶香の手で強制的に階下へ連れて行かれたらしいが、しばらくしてぱたぱたと軽い足音が近付いてくるのが分かった。
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