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翌朝(聖&爽×葵)4

「聖は葵さんに会えないほうが体に毒だからいいんすよ。俺も睡眠時間と葵さんだったら葵さんを選ぶに決まってる」 はっきり言葉にして宣言されると何も言い返せない。彼等が望むならそれでいいと納得する反面、やはり多忙な彼等の体が心配になってしまう。 「それに、俺らに我慢させ過ぎたら後で葵さんが大変なことになりますよ」 空いた手で腰を撫でてくる爽は、きっとこの部位が無茶苦茶になると示したいのだろう。以前葵が良かれと思って彼等との接触を控えた時、実際に暴走させてしまったことがあった。 その時は昨晩のようにトロトロとした心地よさに身を任せて眠りにつくことなど許してもらえず、とてつもなく恥ずかしい台詞を口にさせられ、自ら二人を求めるような姿勢も取らされた。思い出すだけで消えて無くなりたい。 「まぁ俺らとしては、たまにはああいうのも良いっすけどね。葵さんって泣いてるとこもすごく可愛いから」 爽は聖に比べると表立って葵をからかうことは少ないが、時折さらりとこういう危ない発言をしてくる。サド気質なのは兄と変わらないのだろう。 「でもお預けはやだな。毎日シたいぐらいだし。葵さんは?三人でエッチするの久々だったけど、しなくても平気でした?」 「久々って……だって二人では会ってたのに」 爽は昨晩が暫くぶりの再会のように表現するが、あくまで三人での泊まりが久々だっただけだ。聖と爽、それぞれとは時間を合わせて過ごしていた。 それに、前回三人でゆっくり過ごしたのもたった三週間前の話。堪え性がないにも程がある。 「もちろん聖無しで葵さんとデートして、エッチするのも最高に幸せっすよ?独占できるから」 まるで今この瞬間もそうだと言わんばかりに爽がそっと唇を近づけて来る。逃げる間も無くチュっと短い音が鳴った。 「でも葵さん、俺と二人でいても聖のこと気にしてるでしょ?俺もそう。だから結局三人で過ごす時が一番楽しいんすよね」 爽の言う通りだった。どちらか一人と過ごす時間もかけがえのない大切なものだ。けれど、その場に居ない存在のことが気になってしまうのも事実。 「……欲張り、だよね」 そもそも二人を恋人にしている時点で葵は自分が異端である自覚はあった。普通恋愛は一対一で成立するもの。付き合いだして暫く経ってからようやくそんなごく当たり前のことを知り、彼等と別れなくてはいけないのではと悩んだ時期もあった。今も時折この選択が正しかったのか不安になるのは否めない。 「まーた変なこと考えてる。俺らはこれが幸せなんだから、何にも気にしなくていいんすよ」 どうやら葵は考え事が顔に出やすい性質らしい。すぐに爽には見抜かれ、そして叱るように頬をキュッと摘まれた。 「それに、欲張りな葵さんが好きですよ。昨日も解してるだけで二回もイッちゃったし、ね?」 「そ、そういう話じゃなくて!」 あえて葵の記憶がまだ鮮明な部分を選んで思い出させてくる爽に思わず声が上がってしまう。こうしてムキになると爽を喜ばせると分かっていても、だ。 爽の視線から逃れるように布団に潜ると、爽の笑い声が一段と大きくなった。だが葵が本格的に拗ねたくなる前に爽は笑うのをやめ、声のトーンをがらりと変えた。

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