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翌朝(幸樹×葵)3
「……外って、どこ、ですか?」
「景色綺麗なとこがええな。海とか、星見えるとことか。興味湧いた?」
二人でただデートするだけの為なら出掛けたい場所だ。でもそこで彼と体を重ねる想像など全く出来そうにない。
「景色なんて、見れないです」
「大丈夫。そういう時はいつも以上にゆっくり抱いたるから。あおちゃんの声、あんまり響かせるわけにもいかんし」
暗に普段は声が響いていると言われているようなものだ。恥ずかしくて頬を火照らせれば、幸樹はまた楽しそうに笑う。
「ハハ、あおちゃんにはまだ少しハードル高そうやな」
「……いえ、あの、がんばります」
期待はずれと思われたくなくて、葵はつい虚勢を張った。外というのがベランダなのか、それとも車の中という認識でいいのか。誰かに見られてしまう危険性はないのか。ピンと来ないことばかりだが、がっかりさせたくない気持ちのほうが強かった。
「そんな泣きそうな顔して。あおちゃんに無理させたいわけちゃうよ。こういうのはお互いの気持ちが大事やから」
きっと今相当情けない顔をしているのだろう。幸樹は宥めるように大きな手で葵の頬をくすぐってくる。
「さっきも言うたやん。今世界一幸せって。好きな子と一緒に居るだけで十分幸せやから。エッチはおまけ、な?あんまり焦らんでええよ」
まるで小さな子供を相手にするようにポンポンと頭を叩いてくる。でもその顔にまだじわりと欲情が滲んでいるようにも見えた。
「まずはもっと体力付けて、ここもお兄さんの最後まで頬張れるように拡げような」
「なッ…触っちゃダメ、ってば」
どこが”おまけ”なのだろうか。結局それしか頭になさそうだ。お尻の狭間をするりと撫でてくる幸樹の手を掴んでも、圧倒的に力が違うのだから意味をなさない。
「練習あるのみ、やで。どーする?お兄さんとエッチな特訓する?」
ぐいぐいと太腿に当てられるものはすっかり戦闘態勢が整っているように思える。良いとも嫌ともはっきり言えない自分が悪いのは分かっているが、こんな時にどうしたらいいものか、葵には上手い対処方法がわからないのだ。
「またここにあおちゃんはお兄さんの、って印付けてもええ?」
「……ん、ダメ」
「ほな、おっぱいは?そこならバレないやろ?」
項を唇で繰り返し啄まれるのを避けても幸樹は引く気配を見せない。
「万歳してごらん、あおちゃん。世界一可愛がったるわ」
無防備にさせられて、言葉通り丸ごと愛される。その感覚を一度知ってしまったら後戻りは出来ない。恐る恐る両手を広げれば、幸樹はタオルケットと自らが身に纏っていたタンクトップを一気にベッド下に放り投げた。
「ん、ええ子。愛してんで、葵」
覆いかぶさってくる恋人はそう言って甘く囁いてくる。いつもの軽い呼び名ではなく、こんな時だけ真面目に呼ぶのは卑怯だ。思わず体を震わせれば、また低い笑い声が耳を掠めた。
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