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恋の証
ココside
「わ、悪い…」
肩を掴まれ、慌てて引き剥がされる。
「えっと…っ!」
どうしていいのか分からず、咄嗟に言葉も出なかった。
「きもい…よな。ほんと…お前といると、どうしても抑えが効かなくなる。
今日も俺はデートのつもりでさ、めっちゃ浮かれてんの」
ハハハ…と苦虫をかみつぶしたような顔をして笑う。
「この前あんな事したのだって…お前をもっと知りたくて、触れたくて…自分のものにしたいって思ってたから」
天井を見ながら俺、実は下心ありありなんだ。と告げられた。
「あ、あのね?………その、えーっと、オレのこと、ハルのものにしてもらってもいいよ…?
ハルに触らるのも、キスされるのも……あ、あんな風にえっちぃ事されるのも…いやじゃ、ない。から」
俯き加減で気持ちを伝える。
「きょ、今日だって………
オレもデートとか思ってテンション上がってたし。
ハルと手を繋いだり、こうやって隣りに座られるだけで……すごく、ドキドキする」
「じゃあ、お互い様って事でいいの?」
もごもごと言葉に詰まりながらだが、自分の気持ちを伝えることが出来た。
またハルの匂いが濃くなって、抱き締められたのが分かった。
これ、背中に手を回していいの…?かな。
恐る恐る手を背中に回し、そっと背中に手を当てる。
ハルの背中は掌と同じようにとても温かくて、じんわりとオレの手も温もっていくようだった。
これが、人と触れ合う温かさなのか…。
目を閉じてじっとその温かさを味わっていると、不意に熱が離れていった。
その代わりに、すぐに唇が熱を持った。
「んふ……っ、む、ぅんん」
啄むだけの口付けが、だんだんと貪るような口付けに変わって、とうとう舌が侵入してきた。
舌と舌が擦れ合って新たな快感に酔いしれる。
オレはどうしたらいいのかと焦っていたけど、ハルが優しくリードしてくれた。
「鼻で息して……」
「んっ、ふんぁ…っ」
ハルのキスはとても気持ちよくて、ぐずぐずに溶けてしまいそうだ。
舌が歯列をなぞり、口腔をくすぐられ生理的な涙が溢れる。
気持ち良すぎておかしくなりそう。
こんなオレに優しくしてくれる人なんていなかったし、もちろん、こうして優しく触れてくれる人もいなかった。
ハルに触れられる度、体が悦んでいるのが分かる。
ドキドキして、興奮して胸が高鳴るのも…。
きっと、オレはハルが好きなんだ。
そう思った途端、胸がドクンと脈打った。
これが恋の証?なのかな
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