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心2

遙side 「ココ…っ」 思わずココを抱きしめた。 「は、はる……?」 「なんだよ……俺ずっとココに好かれてないのかと思ってた。いきなり大我に撫でさすしさ… 勝手に、ココは俺のなのにって思っちまってた…ごめん。さっきのは怖がらせたよな」 「あ、それ、は…タイガって人ネコ科だったから。ハルに拾ってもらってからネコ科の人いなかったし、後ろの青い人もネコ科で仲間だったから嬉しくて…」 そうか俺―― やっぱり嫉妬してたんだ。 ココを腕の中に感じて分かった。 コイツの中の一番でありたいと心のどこかで思っていたんだ。 そうでないと、この満足感と充足感の説明がつかない。 「ココにかっこ悪いところ見せたな。ほんと、情けないよ俺は…」 恥ずかしくて、もはやココの顔は直視できなくてぎゅっと抱きしめたままだった。 俺はずっとココを抱きしめたいという願いがやっと願いが叶ったけれど、 こんな形で叶ってしまうのは不本意すぎて―― 「お、オレ…っ、ハルに触ってもらえるの嬉しいよ。ぎゅってされるのも嬉しい…」 「嬉しいなそれ。俺もこれ落ち着く」 「これからもいっぱいしてね。ハルのお手伝い出来るよう努力するから… いい子でいたら褒めて…」 「ほんと、お前は可愛いのな」 髪を撫でてから、髪にキスをした。 「……っ!」 目玉が落ちそうになるくらい大きく目を見開き、驚いた顔をする。 耳はネコの耳になってココの背後には髪と同じ色の尻尾がぷらぷらと揺れていた。 なるほど、驚くと半分ネコ化してしまうらしい。 「悪い、びっくりしたか?」 ココの唇にキスがしたくて、どうしようもなく焦れったい気持ちを押し殺し、髪に唇を近づけたのだが、だめだったかもしれない。 例の『子ネコの飼い方』の本の通り何でも一気に迫ってしまうのはよくないと分かっているのに―― これが好きという気持ちなのかと言えば、それはまだ分からない。 ただ、ココを守ってやりたくて、放ってはおけなくて。 その気持ちは、ペットに対してでも大体が芽生える気持ちだと思う。 でも、ココをペットとしては見ていないから自分の気持ちがよく分からない。 今の心持ちといい、さっきまでの焦燥感といい… この変な気持ちは一体何なんだ?

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