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境界線が無くなった日4
遙side
心の中で愚痴を百ほど言いながら、結局着いてしまった居酒屋的な店。
誰が予約したのか知らないがやけに洒落てる。
絶対合コンだろこれ。絶対合コンだろ!
男だけで飲むってのにこんな洒落た店誰が予約すんだよ。
誰だ、俺をだまくらかして連れてきたヤツ!!
というか、そもそも他と連むことの無い俺の交友関係なんてたかが知れてるか…。
「おい、大我これはどういうことだ」
ガシッと肩を掴んで思いっきり手に力を込める。
「アデデデデ!!痛い!痛い!堪忍やぁー!!」
「誰の引き金だコラ…」
大我の耳元で低く唸る。
なぜなら、犯人はコイツしか考えられないからだ。
「遙のこと気になっとるって子がおったから…まぁ、つい?」
怒られてるのに、なぜこうも笑顔なんだ!
あーめんどくせぇ、ほんと呆れた。
「信じらんねぇ…あー、それめんどくせぇやつじゃん、ったく!」
「まぁまぁ、いつものクールな朝日奈くんをよそおっといてぇな!」
あーもう速攻帰りたい。
なぜかとてつもない罪悪感が胸の中で渦巻く。
脳裏にココがちらつきさらに罪悪感を強めてくる。
今頃ココはどうしてるかな……
ちゃんと留守番できてたらいいけど。
*******
『へぇ~朝日奈くんもバスケやってたんだぁ~初耳~』
まぁ、そりゃ誰にも言ってませんから?
『絶対その時モテてたよねぇ~あーもう絶対そうだぁ!』
いや、俺そういうのめんどくさいから断ってたし。
『うんうん!絶対モテてた!』
『どうしたの?朝日奈くーん。全然元気ないじゃーん!』
お前らが来たせいでテンション駄々下がりなんだっつーの。
「最近子ネコにお熱なんよコイツー、今日も早く帰りたくてため息ばっかついてやんの!」
「は!勝手に変なこと言ってんじゃねーよ!」
『えーウソ!?ネコ買ってんの?意外〜♪』
「あ、いや…ただ介抱してやっただけで…」
『朝日奈くんのネコ見たぃ〜♪どんな子?写真ないの?』
あー!!!めんどくせぇ!!!!
大我め!!!勝手なこと言いやがって!!!絶対楽しんでやがる!!!
しかも、勝手に話進めるな!!!
口角筋がつるのではないかというくらい体裁の良い笑顔を貼り付け、心の中で盛大に毒づいていた。
『ネコちゃんの名前は?』
「あー、ココ」
『種類は?歳いくつなの?女の子?』
俺の気を引こうとなのか、どういうことなのか、俺にばかり話を振ってくる。
他の奴らの恨めしげな視線が痛い。
いや、俺好きで話してるんじゃねんだからそんな顔すんなよ、逆に困るわ。
そろそろ9時30分か…。
「もう、風呂入ってっかな…」
スマホの画面を見ながら呟くと、隣にいた大輝がコソっと囁いてきた。
「気になるなら電話、してくれば?」
そう言って、外へと促す。
さすが優男。
ジェスチャーで礼を言ってすぐにその場を離れた。
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