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境界線が無くなった日6
遙side
「悪い。俺、そろそろ帰るわ」
『『『『えぇーー!!!』』』』
「なんでぇなー遙もっと飲もぉや〜!」
絡み酒ウザい…。
これだからコイツと飲むのは嫌いだ。
『朝日奈くん帰っちゃうのぉ?あたしも帰ろっかなー酔っちゃったしぃー』
「やめといた方が良いよー。遙はなかなか自分の部屋に入れないから」
『べ、別にそんなんじゃないったらっ』
あーもう。うるさい。俺はさっさと帰らせてもらうからな!
「じゃ、後は楽しんでー。お先ー」
心のこもって無い言葉と笑顔を散々振り撒き、さっさとそこを切り上げようとしたが、わーわー言って引き止められ、結局店を出たのは10時過ぎからだった。
早く帰りたい。こんなはずじゃなかったのに!
なんでこんなに遠い所に連れてこられたんだよ…。
あの赤と青がいないのを良い事に更に二人のことを一人、電車の中で愚痴り続けた。
電車を降りられたたのは11時前で、流石にココも寝てんだろな、なんて思いながら早足で家路を急ぐ。
駅がマンションから近くて本当に助かった。
徒歩5分ほどで俺のマンションは見えてくる。
歩きながら、マンションを見上げると俺の部屋らしきところは電気がついている。
「寝てろって言ったのに…」
少し呆れながら、俺の帰りをただただ待っていてくれている可愛さに思わず笑みがこぼれる。
泣きながら帰って来てと言われては堪らない。
あの可愛さは天使並みだと思った。
泣き顔見たかったな…と煩悩が頭をよぎる。
何考えてんだ俺、最近よこしまな考えが目に余るぞ。
おかしい。本当におかしい。
もう、ただの同居人として見れなくなっている。
俺自身、本音を言えばどこで線引きしていいのか分からない。
まず、男に可愛いとかありえねぇだろ。
いや、でもアイツはかなり可愛い。
あれをオカズに抜けるかもしれない。
いやいや、待て。それは流石にダメだろうが。
軽く酔っていたとしてもその思考回路はおかしいし、そもそも俺は酒にはかなり強いほうだ。
何バカなことを考えてるんだ。
ドアの前で一旦自分の頭を整理し、健全な理性が俺の頭の中にあるのを再確認してから鍵を開けた。
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