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俺の理性の崩し方
遙side
たった今固めた理性は途端に崩れ去った。
理由は簡単、ただ単にココが可愛いかったから。
毎度、毎度ココがニヤけたいくらいに可愛いのだが、それはいつもの比ではなかった。
このニヤけたいは犯罪臭のする気持ち悪い笑い方の方ではなく、愛玩動物に対して目を細めてしまうというたぐいのものだ。
俺が買ってきた例のふわふわ生地のネコのつなぎを着て、どこから持ってきたのか、俺のシャツを握りしめてすよすよと寝息をたてているのだ。
それだけではない、おまけにそのシャツに顔を埋めて幸せそうにしている。
唸りたいほどの可愛さな目が眩む。
その時に、俺の理性はガラガラと音をたてて崩れ始めた。
ソファの近くの机には何やら紅茶らしきものが…。
ティーパックが幾つかコップの近くに置かれている。
もしかして、俺のこと出迎えるために眠くならないようにずっと飲んでた?
俺が遅くなるって言ってたから?
勝手に自分に良いように想像してしまうが、もしそうならとんでもなく可愛いことをしてくれるではないか。
もう一度言うが、本当にコイツの可愛さは天使並みだ。
「……んゅぅ…、はる…ぅ」
寝言でも俺のこと言ってくれるのかよ。
くっそ……またあのムラムラが。
いつもの冷静さが微塵もない自らを落ち着かせるためと思って一旦、風呂に入ることにした。
その間にココが目を覚ませばいいと思いながら、どこかでこのまま目を覚まさなければ…そんな変な事も考えてしまっていた。
「くっそ、落ち着け俺…早まるな。相手は男だ。しかもやっと俺に慣れてきたようなヤツだぞ。襲ったりしたら…ってか、まず襲う前提かよ!あぁ、もう…っ」
滝にうたれるようにして、ずっとシャワーを頭から浴びながらひたすら邪念を払っていた。
そうしたからといって、風呂から上がってそれを見れば無効になるわけで…。
俺の選択肢はこの瞬間、Aに決まった。
「…っ!もう俺が悪いんじゃないんだからな。俺は今まで散々我慢したんだぞ。
お前が悪いんだからな……っ」
俺の気も知らないで静かに眠るココの頬に触れる。
「んぅ…」
肌すべすべ…こんなやらけぇのかよ、コイツ。
俺のシャツを抜き取ろうとココの手を剥がそうとすると、
「んぅ、やぁ……」
と声を漏らし、無意識かその手にぐっと力を込める。
更に顔を埋めて取り返せなくなる。
あぁ〜これは写真取らなきゃなと思い口元を緩ませながら、
俺はシャツを諦めてベッドへ移動させることにした。
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