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風呂に入れよう
遙side
「さあ、着いたぞ。まずは風呂だな!服は貸すから。ノラ猫の匂いがする!」
「の…らっ」
ココを風呂場へ追い立てて急いで湯を張った。
「風呂の使い方は分かるよな?とにかく服は早く脱げ。この服はこの洗濯機に入れるんだ。」
その指示通りにさっそく服を脱いでそこへ放り込んだ。
ココがいる手前一応は洗うが、こんなボロボロの服は明日には雑巾に変わっているだろう。
「お、お前身につけているのは、それだけか!」
なんと、ココはボロボロになった長いロングTシャツと白のブリーフ以外何も着ていなかった。
ケータイのライトはあったものの、ココの全貌を目にしたのはたった今だ。
「…うん。ネコだし、服は必要無いって着させてくれなくて…」
どんなとこだったんだよ…そこ。
そんな扱いばっか受けて、そりゃ臆病にもなるよなぁ。
もっと別の理由もあるかもしれないけど。
でも、今は聞ける状態ではないから、とにかく体を温めてやらねば…
「辛かっただろうな…あんなところで寒かっただろう」
あまりにもかわいそうで同情して、思わず抱き締めてしまった。
一体全体コイツの身に何があったのだろう。
胸を痛めながら埃っぽい頭を撫でる。
コイツはこんなにきれいな茶色の髪をしていたのか…洗えばもっと毛並みに磨きがかかりそうだ。
「に、にゃ?」
急に抱き締められて目を丸くしているココに、柄でもないことを言った。
「俺は、お前にひどい扱いをしたりしない。ココが言えるようになるまで何にも聞いたりしないからな。とにかく今は俺が見方だ」
「あ、ありがと…」
少しの沈黙の後、ココはボソッと呟いて俺の胸に顔を埋めた。
そのまま撫で続けていたが、途中からコイツが全裸だということに気がつく。
ココの尻はプリンと白桃のように艶やかで、まるで幼児のよう。
下の毛もほとんどなく、小さなものが慎ましやかにそこにある。
ソコを見るといくら可愛くても男なんだと改めて思ったが、なぜかイケナイ気持ちが溢れてきて、まかり間違って何か良からぬことをしてしまいそうで怖かった。
「さ、さっさと風呂入れ、風邪ひくぞ」
一通り風呂場の説明を終えて、そこから出ようとした。
一刻も早くその場から立ち去って、この溢れ出す焦燥感をちゃんと落ち着かせたかった。
キメ細やかな白い肌に茶色っぽいクリクリした毛、同じ色の可愛いネコ耳がピクピクと忙しなく動いている。
尻尾もゆらゆら揺れて、それを見るだけで可愛いと思っている自分は絶対おかしい…
居た堪れなくて風呂の扉を閉めようとした時、俺のシャツの裾を握り締めて引き止めてきた。
「ひ、独りじゃ寂しい…怖いよぉ」
それが精一杯の意思表示だったのだろう。
声が震えて今にも泣きそうになっていた。
「…だ、だめ?」
その怯えながら遠慮気味に窺ってくる声音を聞いて、体に電流が走った。
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