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刹那の冒険
遙side
頭がズキズキして辛抱堪らなくて目が覚めた。
額には冷たいタオルが。
さびっ……!俺なんで裸…?
帰ってきていきなり裸になったのか!?と記憶を遡るが、玄関を開けたら初めてココが話しかけてくれて――
そこからの記憶が全くない…
頭痛に耐えながら頭をフル回転させていると、右側がやけに暖かいことに気がついた。
「んぅ……」
可愛い声のする右を見るとココが裸で寝ていた。
うぉっ!!
ココの可愛い顔がドアップで俺のスクリーンに映し出され、一瞬声を出しそうになった。
ついに酔った勢いで、いたしてしまったのかと思って、ココの下を確認してみたが何もない。
ココの体もそういう跡はなさそうだし、周りにもゴムも何も落ちていなかった。
「にしても、可愛い…」
あ、俺…
何となく思い出した。
ココに思いっきり吐いたような気がする。
ってことは、全部片付けてくれた!?
申し訳ないどころの話じゃねぇ!!ココにゲロぶちまけたなんて…最低だ。
でも、今くっつかれてるってことは、嫌われてはいない?のか
ほっと胸を下ろしつつ、初めてこんなに近くにココを感じて心が震える。
まるで、野良ネコがやっと手から餌を食べてくれた時の感動のようだ。
「というか…お互い裸ってやばくないか」
ココの裸を見てつい興奮してしまう自分がいる。
でも、決して俺は変態ではないし、ショタコンでもない!!
それなのに、時々ココをそういう目で見てしまっている時がある。
あの時、風呂でココのエロい声を聞いてからそういう気になってしまうので、一緒に入ってないし、裸も見てない。
あの出来事が鮮明に思い出されて何度もリピートを繰り返す。
「うぅ…ん、さむぅ…」
理性が俺の性欲と戦っていると、ココがもぞもぞと俺に擦り寄って来た。
うっわ…ダメだろコレっ、ヤバい。理性が効かなくなる。
すっげぇ可愛いし!どうすんだよこれ!!
寒そ…あー、どうしよ。
抱きしめても……いいよな?
抱き締めると、すごく暖かかったが密着度が上がると余計に興奮してしまう。
更に自分の首を絞めてしまい、ふわっと香るココの匂いが直接的に俺の中心を刺激した。
「ミルクみたいな匂い…」
うっわー顔近い……顔近い。
不意に口元に目が行き、よからぬ考えが芽生える。
あーキスしたい――
そう思ってしまった。
中学生のような自分の心理状況を少し恥ずかしく思ったが、口元に目が行ったのが運の尽き、唇だけにやけに意識がいって目が離せなくなった。
少しは躊躇したが、据え膳食わぬは男の恥。
そっと、そっと、起こさないように更に顔を近づけて唇を重ねた。
5秒くらいかけてそっと動き、唇を重ねた。
「……うんぅ」
すっげ……やらけー。
なんだこの唇…。
すっげぇ可愛いし!と思って更に堪能しようと思ったが流石に我に返り、唇を離した。
俺の中の張り詰めた糸が緩んだ途端、ココの目が開いた。
「……っ!!は、ハルっ…」
「あ、起きた?昨日はごめんな。ありがとう」
何もなかったのように装うのが精一杯で、抱きしめたままなのをすっかり忘れていた。
「……うん。えと!あ、せ、…洗濯!!」
するりと俺の腕から逃げて、つかの間の幸せは終わってしまった。
何だあの慌てよう…もしかして作戦失敗か。
というか、洗濯のやり方教えてないんだが…
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