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第6話 始まる夏休み
禁句と分かっていて祐に言っているので、質が悪い。
祐は身長の事で本気で悩んでいたし、分かってはいても認めたくなかった。
クラスどころか学年でも1、2位を争う背の低さ。
おまけにクラスの女子と大差ない身長なのだから、複雑だった。
両親も日本人としては平均的だとは思うが、思い返してみれば祖母の身長が低かった気がする。
もしかして…と思いながらも半分諦めてはいた。
けれど改めて面と向かってハッキリと言われるのは、少し辛いものがあるのだ。
友人やクラスメイトと話しする時は、首をクイッと上げる形になる。
その度に、女子の苦労を知るのだった。
そこで祐は自分がここへ来た本来の目的を思い出して、斗真へ様子を伺いながら声を掛けた。
「…そういう伯父さんは、変わったみたいだね…色々と…」
言いにくそうにしている祐に、斗真は笑ってみせた。
「あー、まぁな。調子に乗ってたら実家に帰られちまってさ~」
その発言を聞いた甥っ子に、呆れた目でジトーッと見つめられる居心地の悪さを感じ取った斗真は、誤魔化す様に祐から荷物をふんだくる。
「疲れただろ!さぁさ、とにかく家に行こうぜ~!」
後で絶対に詳しい話を聞かせてもらおうと思い、取り敢えず疲れた体をなんとかしたくて、祐は斗真の後ろ姿を追いかけた。
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