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第16話 神隠し
…くしゅんっ
暫し呆然としていたが鼻がムズムズとして、祐はクシャミをひとつした。
そこで自分が全裸のままだということを思い出して、恥ずかしさもあって両手で膝を抱え込みその場でイソイソと小さくなり座り直す。
「…池?」
自分が座っているのは小さな池の様なところで、直ぐに対岸に行けるような小さな物だった。
水の透明度はとても高い。
背後にある石の間から、チョロチョロと水が流れ落ちている。
「水が湧いてる…泉?」
ゆっくりと周囲へ巡らせた視線の先には、見たこともない植物が覆い繁っていた。
あり得ないほどの巨木が、まるで祐を取り囲むかの様に等間隔でグルリと並んでいる。
「ここって、フランスじゃ…ない?」
フランスへは来て一週間だが、こんな巨木も大きな葉も見たことがない。
だとしたら一体何処なのか。どうして自分がこんな場所に居るのか。
「そもそもお風呂じゃないし」
辺りを視線を動かして確認するが、全く見覚えがない。
お風呂場から外。
何で?
どうなっているのか?
「まさか神隠し、とか…?」
自分でそう言ってから少し怖くなる。
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