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第17話 困惑

日本では昔からある日突然、なんの前触れもなく人間が忽然と姿を消すという不思議な現象がある。 「ううん。そもそもここは日本じゃないし…ここが何処かは分からないけど、でも外国にも神隠しみたいな事があるかも?」 よくテレビのミステリー特集でも日本だけでなく外国の話として、色々と聞く。 「でも、お風呂から神隠し…?まさか。きっと寝ぼけてるんだよね、きっと」 そうだそうだと思っても、肌に触れる水は冷たくリアルだし、風が頬を撫でるのも幻覚ではない。 「ど、どうしよう…」 何でどうしてこんな事になったのだろうか。 そしてこれから一体どうしたらいいのか? 暫く悶々としながら考えたが、結局何も名案は思い付かない。 いくら考えても分からないことだ。 とにかく自分の居る場所を把握しなければ、この先どうしようもない。 「よしっ。取り敢えず街まで出て、誰かに電話を借りよう。それから警察か、大使館に…」 そうしよう。と、ひとつ頷いて決めた祐は立ち上がろうとして止める。 さすがにこの格好では歩けない。 「そうだった…お風呂入ってたから…」 誰も居ないとはいえ全裸では抵抗があるので、祐は気持ち股間と胸元をそっと手の平で隠した。 まるでどこぞのヴィーナスの様な体勢で、どうしようかと頭を悩ませていた祐の耳に、何処からか音が聞こえてきた。 「え…何の音だろ?」 祐は、その聞きなれない音に耳を傾けた。

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